2013/07/11

青色申告は、白色申告と、何が違うの?

白色申告より青色申告の方が、より税金を軽くできる制度であることはお伝えしましたが、具体的に、どのような違いがあるのでしょう。

何度もお伝えしているとおり、税金をより軽くできる制度であるが故に、税金を安くするための目安が必要となります。

その目安を公的機関が確認できるように、
申告をする側は、日々の業務に伴うお金の出入りを帳簿につけ、その結果を青色申告決算書に書き、確定申告をする必要があります。

そうです、青色申告は、白色申告よりも、「提出書類」が多いのです。
そのため、よりしっかりした日々の運営管理が必要となります。

ただし、白色申告でも、事業所得が300万円を超えた時点で、青色申告と同様に帳簿をつけることが義務付けられています。

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青色申告悦控除金額と帳簿の関係
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青色申告を行った場合でも、役場に提出する書類によって、特別控除金額は、
10万円、
65万円、
に分かれます。

簡易簿記(現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳)
現金式簡易簿記(現金出納帳)
の提出であれば、10万円控除。

複式簿記(主要簿:仕訳帳・総勘定元帳、補助簿:現金出納帳、預け金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳など)

の提出であれば、65万円控除となります。

より節税を極めるのであれば、後者の書類提出が必須となるわけです。

後者の書類を提出できるようになれば、65万円控除をしてもらえるということになります。


2013/07/08

製造原価の分類と計算方法(個別原価計算と総合原価計算)

工業簿記では、製造原価を種類によって分け、製品との関係によって分けるようです。

表に表すと、以下のような状態です。

      直接費      間接費
材料   直接材料費   間接材料費
労務費  直接労働費   間接労働費
経費   直接経費     間接費用


例えば、
直接労働費とは、工場にて直接働いている人の人件費で、
間接労務費とは、工場の事務所にて事務処理をしている人の人件費です。

製品製造に直接かかわっている費用なのか、間接的にかかわっている費用なのかによって、費用の種類が分かれます。

この分けた費用の使い方が、原価計算の違いによって異なります。

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個別原価計算
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家具製造業や、造船業大型機械製造業などの業種では主に個別原価計算という方法で、原価を計算しています。

これは、顧客の注文に応じて特定の製品を個別に生産する個別受注生産を行う際に用いられる方法です。

注文に応じて、「製造指図書」を発行し、それに基づき製造していきます。

特徴は、
製品ごと製造直接費(直接材料費、直接労務費、直接経費)を計算します。
計算された製造直接費は、各製品に費用を割り振ります。このことを賦課 ふか(または直課)と言います。

間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)は、一定の基準によって、各製品に割り当て、負担させる。このことを配賦 はいふと言います。

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総合原価計算
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パン製造業自動車製造業衣料品製造業などの業種で、大量に見込み生産を行う企業においては、総合原価計算を行います。

特徴は、
製品の原価は1ヶ月ごとにまとめて計算します。
月初において、生産量を記載した製造作業の命令書(製造指図書)を毎月発行します。


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この説明を読んだだけでは、あまりピンときませんよね?

でも、私のおそらく予想ですが、農業を大規模に行っている農家さんや法人さんの場合、大量見込生産が主なので、総合原価計算が活用でき、

希少な野菜などを何種類も、受注先に限定的に作っている農家さんの場合は、見込み生産ではありますが、大量ではないため、個別原価計算を活用できるかもしれませんよね。

どちらが、自分の農業に適しているかを学ぶためにも、一緒に簿記を身に付けましょう!

ではでは今回はこのへんにて。

2013/07/07

製造原価の続き

前回の続きの「製造原価」についてです。

「製造原価」には、工業と同様、材料費、労務費、経費から成っています。

農業において、この中の「材料費」は、
  • 種苗費
  • 肥料費
  • 農薬費
  • 諸材料費
  • 飼育費
  • 飼料費
です。購入時に発生した引取運賃なども材料費として計上します。

このうち、特徴のあるものを以下にピックアップすると、

自家採種の場合

前期末に、農作物として棚卸をします。
種苗として消費した際に、以下のような仕分けが発生します。
貸方科目    |    借方科目
種苗費      |    事業消費高
(消費税は不可税です)
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自給肥料の場合

堆肥の造成に要したわらなどの原材料
緑肥用のれんげ草の購入費
を肥料費として計上します
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諸材料費とは

ビニール、鉢、むしろ、なわ、釘、針金など

ハウス用のビニールは、諸材料費ではなく「建設仮勘定」で処理、張替費用は「修繕費」とします。
包装用段ボールなどは、「荷造運賃手数料勘定」で処理。

ちょっとの違いですが、こんなふうに計上するんですね。なるほど。

2013/07/03

工業簿記の原価について 【練習問題1】

原価には、製造原価と、それに販売費と一般管理費をプラスした総原価があります。

販売費とは、製品を販売するためにかかった費用で、
一般管理費とは、企業全般の管理のためにかかった費用のことです。

例えば、製品を販売するために使ったのぼり代は販売費、工場の事務職員の給料は直接作業していない人員の給料なので一般管理費となります。

その他、工業簿記で原価に含めてはいけない非原価項目というものがあるので、注意しましょう!

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非原価項目とは?
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  • 非原価項目とは

    ■ 経営目的に関連しないもの
    投資資産、寄付金、支払利息や割引料、有価証券評価損など)
    ■ 異常な状態を原因とするもの
    仕損や貸倒損失、火災風水害などによる損失、偶発債務損失など)
    ■ 税法上認められている損金算入項目
    経費として認められるもの)
    ■ 企業の利益から支払われるもの
    法人税所得税住民税配当金など)
もっと詳しく知りたい方は、TACのテキストをご参照ください。



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練習問題1
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次の項目について、原価計算上で
製造原価になるものはA、販売費となるものはB、一般管理費となるものはC、非原価項目となるものはDを入れなさい。


  • 火災による損失 (   )
  • 工場の電力料 (   )
  • 製品の材料費 (   )
  • 不動産の固定資産 (   )
  • 本社の事務職員の給料 (   )
  • のぼりの作成費用 (   )
  • 工場の作業員の人件費 (   )
  • 本社の水道代 (   )
  • 法人税 (   )


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農業簿記 Point
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農業では、材料費には、次のような項目があります。
種苗、資料、肥料、農薬、諸材料
種苗費とは、種もみ、その他種子、種イモ、苗類などの購入費用。
(ただし、緑肥作物の種子代は肥料費に計上)
【ワンポイント】
リンゴやみかんといった果実などを収穫するために、樹木を育成する場合、
苗木費は、期中では種苗費として計上、決算整理の際に、育成仮勘定に振り返ることで製造原価から控除し減価償却資産(果樹)とします。

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回答
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  • 火災による損失 ( D )
  • 工場の電力料 ( A )
  • 製品の材料費 ( A )
  • 不動産の固定資産 ( D )
  • 本社の事務職員の給料 ( C )
  • のぼりの作成費用 ( B )
  • 工場の作業員の人件費 ( A )
  • 本社の水道代 ( C )
  • 法人税 ( D )

2013/07/01

工業簿記は、農業簿記に似ているの(?)

私はとても似ていると思います。

みなさんご存じのとおり、日商で行っている簿記検定は、3級までは商業簿記ですが、2級からは「工業簿記」が試験内容の約1/4をしめるようになります。

農業簿記を覚えるためには、一般的に参考書や問題集が出回っている、簿記2級の工業簿記をモノにすることを先に考えることをおすすめします。

なぜならば、「農業簿記」という分類は、現状、試験もさながら、参考書もほとんど無い状況だからです。


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商業簿記、工業簿記とは?
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そもそも「商業簿記」と「工業簿記」は何が違うのでしょうか?


  • 商業簿記とは、

仕入れ先から商品を購入し、その商品を得意先へ販売する商品売買業に用いられる簿記のこと

  • 工業簿記とは、

材料を仕入れ、それを加工し、製品を作り販売する製造業やメーカーで用いられる簿記のこと
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原価とは?
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製品を作る際の材料の代金、製造する人たちの賃金、製造時に利用する電力ガス代、水道代など、製造するためにかかった金額のことを原価といいます。

また、この原価を正確に計算するための計算を「原価計算」とよびます。

工業簿記では、原価計算により算出した結果を帳簿に記録し、それを財務諸表により報告します。

一会計期間は通常1年で、原価計算は1ヶ月単位(原価計算期間)で行います。

また、原価は以下の2種類の表現があります。


  • 製造原価

製品を製造するためにかかった費用のこと


  • 総原価

製造原価 + 販売費 + 一般管理費(企業全般の管理のためにかかった費用)

工業簿記で通常、「原価」と言えば、製造原価のことを指します。


▼説明がわかりやすく、例題なども豊富なTACの参考書は、おすすめです。


2013/06/30

農業に青色申告は必要でしょうか?

はい、できれば「白色申告」より「青色申告」の方が節税できるため、青色申告を覚えて、ぜひそれを実践してください。

具体的に言うと、青色申告をしっかり行うことにより、特別控除を受けることができ、その分の所得が減り、そのため、所得税や住民税や保険料などが安くなります。

おそらく、「青色申告」がどういうものなのか、なんとなくおわかりの方も多いことでしょう。
そして、「白色申告」という言葉を、初めて聞く方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「青色申告」も「白色申告」も、事業主が自分で選択できる「確定申告」の種類です。

ご存じのとおり日本国民は、一定の所得を得ている人は、それに見合った税金を国に納める必要があります。その税金の金額を決めるために、毎年行っているのが「確定申告」です。

そして、個人事業主の場合、その確定申告を青と白の2種類から選択できるようになっています。

なぜ「白色申告」より「青色申告」が良いかというと、単純に、翌年の支払う税金が安くなるからです。青色申告で必要な書類を提出することで、最大65万円の特別控除が受けられます。

詳細は、こちらの国税庁のホームページをご参照ください。

実は、確定申告する所得の種類は全部で10種類あります。その中で、青色申告ができる所得は、

  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 山林所得

の3つのみのようです。

もっと詳しくいろいろなことを知りたい!とお考えの方は、「青色申告」について、初心者でもわかりやすく書かれている以下の「図解 いちばんやさしく丁寧に書いた 青色申告の本」をおすすめいたします。

1冊1,300円とお手頃価格で、個人事業主の節税ポイントから、初心者がよく迷う仕分の帳簿ケーススタディなども盛り込まれていて、実際に困ったときのお助け冊子となります。
簿記も、青色申告も初めてという方には、手始めにおすすめする1冊です。


残念ながら、このサイトを開設している私は、確定申告のプロではありません。
プロでもないのに、なぜこのサイトを開いているのか?と不思議に思われる方も多いでしょう。

実は私、情けない話ですが、昨年度の確定申告を「青色申告」で行ったにもかかわらず、節税がほとんどできておりませんでした。

そこで、今年度の青色申告までには簿記(農業簿記に役立つ部分)を勉強し、特別控除がしっかり受けられるための必要書類を用意するとともに、より良い経営を目指すために必要な物事を見定めたいと思ったのです。

このサイトは、その勉強したことを覚書したものです。

私と同じように、これから農業をやろう!とお考えの方から、独立して個人事業主になろう!とお考えの方まで、このサイトが少しでもその参考資料となれば幸いです。